研究課題/領域番号 |
07458220
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
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研究分担者 |
畠 義郎 大阪大学, 医学部, 助手 (40212146)
畠 義郎 大阪大学, 医学部, 助手 (20089882)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | 大脳 / シナプス / 長期増強 / 長期抑圧 / 可塑性 / カルシウム / 記憶 / 学習 / 脳 / 神経回路 / カルシウムイメージング / ニューロン |
研究概要 |
発達脳皮質視覚野には伝達効率を可塑的に変えるシナプスが存在することが仔ネコ片眼遮閉実験によって示唆されていたが、この示唆は視覚野でシナプス伝達効率の長期増強あるいは長期抑圧が起きることの発見によって支持された。このようなシナプス伝達効率の変化は発達脳の可塑性の基礎過程と考えられるが、それが如何なるメカニズムで起きるのか、あるいは入力条件によって長期増強でなく長期抑圧が生じるのは何故なのかは、明らかではなかった。 研究代表者らは数年前に、Ca^<2+>流入を起こすN-methyl-D-aspartate(NMDA)型グルタミン酸受容体がこの変化に関与しているらしいことを示した。さらに、その後の実験において、白質に長期増強を起こすようなテタヌス刺激を与えると皮質ニューロ内でCa^<2+>増加が生じることを見い出した。また、シナプス後ニューロンへCa^<2+>キレーターを注入し、テタヌス入力中のCa^<2+>濃度上昇を阻止するとシナプス長期抑圧が起きることも見い出した。これらの結果は、テタヌス入力による長期増強あるいは長期抑圧の誘発にシナプス後部のCa^<2+>が関与していることを示唆している。 本研究は上述の一連の実験における知見にアイデアを得て計画された。具体的には、whole-cell電流記録用のパッチクランプ電極からCa^<2+>蛍光指示薬を神経細胞内に注入しシナプス後部にあたる樹状突起に迄充填し,興奮性後シナプス電流の測定と同時に、シナプス入力時のCa^<2+>動態をデジタル画像顕微鏡により計測した。このような計測により、1)長期増強を起こす時のシナプス後部でのCa^<2+>の動態、2)長期抑圧を起こす時のCa^<2+>の動態、さらに3)両者の違い、を明らかにしようとした。 その結果、高頻度シナプス入力に伴うカルシウムシグナルの増加は樹状突起内で均一ではなくホットスポットと呼ばれる特定の部位で特に強いことを見い出した。また、この増加にはNMDA型グルタミン酸受容体の他に電位依存性カルシウムチャネルも関与していることが判明した。さらに、長期増強誘発時にはシナプス後ニューロンの樹状突起ホットスポットで強いカルシウム増加が、長期抑圧誘発時には比較的弱い増加が起きることも見い出した。
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