研究課題/領域番号 |
07458223
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
西野 仁雄 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60073730)
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研究分担者 |
藤本 一朗 名古屋市立大学, 生理学研究所・神経情報部門, 助手 (70264710)
福田 敦夫 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (50254272)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1995年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 虚血細胞死 / Ca^<++> / カルパイン / 細胞骨格 / 血液脳関門 / 神経移植 / 脳虚血 / 神経細胞死 / Ca / 免疫・補体 |
研究概要 |
平成7〜8年度の2年間にわたり、中大脳動脈虚血・再開通ラットモデルを用い、虚血脳細胞死のメカニズムの解析と虚血部位へ神経移植を行うことにより障害された脳機能の再建を試み、以下の成果をあげた。 1.カルパインの脳内分布、その活性化とニューロン死 μ-カルパイン80KDのN末アセチル化ペプチドに対する抗体を作成した。本抗体はN末delete前のμ-カルパイン(プロエンザイム)を認識する。この抗体を用いてカルパインの分布とその活性化を調べると、カルパインプロエンザイムはニューロンの核内に多量に存在し、次いで細胞質中に分布すること、しかしニューロン以外では赤血球中に存在するだけで他の細胞には検出できず神経細胞特異的であった。虚血後(0〜30分)にこのプロエンザイムのN末ペプチドが切断され、カルパインの活性化、Microtubule associated protein 2(MAP2)の消失、細胞骨格の障害そしてargyrophilicなdark neuron・(DN,障害されたニューロン)が出現することを明らかにした。一方、MAP2遺伝子を導入することによってMAP2を強制発現させたCOS7細胞はtubulin鎖の形成によって突起をもつ細胞に形質変化するが、この細胞は無グルコース/無酸素条件下でもargyrophilic(DN)にならないことが判明した。 2.血液脳関門(BBB)の破綻 虚血・再開通の2〜3時間後には虚血のcore部位(腺条体外側部と隣接する大脳皮質)のアストログリア細胞の障害、これに引き続くBBBの破綻がおこり血漿成分(IgGや-補体C3など)が脳実質中に漏出し、免疫補体反応の高進とcytotoxicityの高進が認められた。虚血と同時にdexamethasoneを投与するとBBBの障害が減弱し以後の梗塞巣が縮小した。 3.神経移植による機能の再建 中大脳動脈の虚血・再開通の2〜3週間後に、胎仔ラットより調整した線条体細胞をロ-ダミンで標識後、線条体の外側部に移植すると運動平衡異常が改善された。このような動物の脳を取り出し移植部を含む脳切片を作製するとロ-ダミンでラベルされた移植細胞を同定することができた。近傍の宿主大脳皮質あるいは線条体に電気刺激(train刺激)を加えると移植細胞内のCa^<++>濃度が上昇することが認められた。これは移植された細胞が宿主脳で生着するとともに宿主脳から機能的な入力を受けていることを意味し、移植による機能改善の一因となっていると考えられる。
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