配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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研究概要 |
突然変異mtDNAのマウス細胞株への導入法の確立,さらには突然変異mtDNA導入マウス系統の樹立は急務となっているが,従来の方法ではDNAを核には導入できてもミトコンドリアには導入することができない.従って,ミトコンドリアノックアウトマウスの作製には,突然変異を持つマウスmtDNAと,マウスの培養細胞株からmtDNAが完全に削除された細胞株(マウスρ^0細胞株)の樹立が必須である. このような背景の中で,今年度は以下のような成果をあげた. (1)突然変異mtDNA導入マウスの作製には,マウスのmtDNA欠損細胞(ρ^0細胞)の樹立が必要不可欠であるが,最近申請者らは世界で初めてマウスのρ^0細胞の樹立に成功した(Inoue,K.,et al.J.Biol.Chem.1997;Inoue,K.,et al.BBRC 1997).また,この細胞を用いてmtDNAの突然変異が糖尿病の原因になり得ることを直接立証した(Soejima,A.,et al.J.Biol.Chem.1996).更に,この細胞に老化したマウスの脳神経系のmtDNAを細胞融合法によって人工的に導入する実験系も確立した(Inour,K.,et al.J.Biol.Chem.,1997). (2)ごく最近当初の目的である人工的に突然変異を導入したマウスmtDNA含むシャトルベクターの作製に成功し,このベクターのミトコンドリアへの導入法等の確立に全力をあげているところである. (3)最後に,様々なヒトの病原性突然変異mtDNAを導入したHeLa細胞を使って,ミトコンドリアでこれまで考えられてきた常識を覆えす事実,すなわち"細胞内のミトコンドリアは機能的には単一である"という新しい仮説を提唱し,遺伝学の基礎的分野にも大きく貢献することができた(Takai,D.,et al.,J.Biol.Chem.1997). 今後の展開:本申請の目的である"mtDNAノックアウトマウスの作製"を実現することはできなかったが,すでにマウスのρ^0細胞の樹立とマウスmtDNA含むシャトルベクターの作製に成功し,本申請の目的である"mtDNAノックアウトマウスの作製"を実現できる見通しがでてきた.
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