研究概要 |
本年度までに,以下の2実験を行った。 第1実験においては,C57BL6Jマウスを開発した行動発達自動解析装置において,移植行動等を測定した。テストした動物の日齢は,生後20日から500日齢である。 結果は,老齢マウスになると,移動行動等に性差が有意に現れた。日内の行動変化は,加齢関数的に起こることが見出された。 加齢に伴う性差が生じる行動機序には,脳内神経物質系が重要な役割を果たしていることが示唆された。 第2実験においては,Sprague Dawley系ラットの生体の雌雄をオープンフィールド装置において,ビデオ入力画像と処理プログラムによって,移動行動と探索行動が計測された。用いた薬物は,海馬CA1受容体の活性化を阻害するMK801の低濃度(0.05mg/kg)中濃度(0.10mg/kg)高濃度(0.20mg/kg)と等量の生理的食塩水である。 結果は,雄ラットでは高濃度により過活動が現れたが,雌ラットでは低濃度でしか過活動が現れなかった。探索行動は,雌雄ラットにおいて低濃度で障害を受けた。 これらの発見は,マウスを用いた先行研究の結果と同様に,海馬CA1受容体の活性化が痴呆による行動障害に重要な機能を果たしていることを示唆している。
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