研究概要 |
本研究の目的は,地理情報システムを用いて,図形情報と文字情報を双方向に検索することが可能な平安京の遺構のデータベース・モデルを作成することにある。本年度は以下のような成果を上げることができた。 ベクターデータ・マップとラスターデータ・マップ ベースマップがベクターデータでは検索,描画に時間がかかる。条坊地割の研究には,高い精度と,極端な拡大・縮小に対応するためベクターデータは不可欠であるが,遺構に関する文字情報を検索するだけなら,ラスターデータを背景とした方が情報量も圧縮でき,検索・描画時間も短縮できる。さらに,公開することを考えたときも,ベクターデータより視認性が高いこと,情報量が少ないことなどから,目的,用途,表示縮尺などに応じたベースマップの使い分けとそのリンクを検討した。 遺構データベースの運用 前年度に作成した遺構データベースの属性項目を一部変更し,データベースの試験的運用を試みた。溝や柵などの長細い遺構が複数の遺跡にまたがって検出された場合の文字情報とリンクや,柱穴のように建物や柵として認識できたものとそうでない遺構の文字情報とのリンク,後から判明した同一遺構のリンクに若干の問題を生じた。 今後の課題 地図データは時系的にに変化していくものであり、地図の修正をどのように対応させていくのかが今後の課題となる。また,ベクターデータは精度は高いが公開にあたり情報量が膨大なものとなる上、ベクターデータを表示するためのソフトが必要となる。今回の研究では言及できなかったが,目的や表示する縮尺に応じてラスターデータと組み合わせ,基本的な参照ソフトから検索できないかと考えている。
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