研究概要 |
近年,分子生物学的手法の普及により,分子レベルでの植物生理学研究が著しい進展を見せている。これらの手法により創製された形質転換植物の評価を植物個体あるいは細胞レベルで行うことが望ましく,in situな測定法の開発が強く望まれているところである。このような装置としては,特定の波長の測定システムについては,ドイツのSchreiber等が開発したものがあるが国内にはなく,多波長の測定システムについては国内外にない。本研究課題の目的は,上記のようなin situなケイ光・吸光度変化を多波長で測定できる装置の開発を行うことである。 研究代表者である高倍が基本計画を作成し,すでに半導体等の分野で実績をもつ研究分担者の高井が,変調分光法を用いた高感度分光測定システムを試作している。これまでの検討により,1)光源には多数の発光ダイオードを用い,ワンタッチで発光ダイオードを切り替えるようなシステムにすることとした。2)測定波長の選択は,光量の点で有利な干渉フィルターを用いることとした。3)特定の波長をブロードなフィルターを用いて測定するドイツの製品は,ツマミを廻して測定条件を設定するが,本試作品はプログラムを組み,キーボードで選択できるようにした。4)現在までのところ、変調分光に必要な発光ダイオードの駆動,増幅のタイミング,パルスのプログラム,トリガーの開始等は作動するが、まだ、太陽光のもとでもケイ光が測定できるような高いダイナミックレンジが確保できるに至っていない。市販の装置との比較検討を行ないながら研究を進めている。
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