研究分担者 |
奈良 雅之 機能水研究所, 博士研究員
足立 守 名古屋大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10113094)
若槻 雅男 筑波大学, 物質工学系, 教授 (50114153)
岡田 昭彦 理化学研究所, 表面解析室, 副主任研究員
鈴木 勝彦 東京大学, 教養学部, 助手 (70251329)
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研究概要 |
本研究では,可視光において不透明な鉱物の内部組織を観察するうえで,近赤外領域での観察が有用であることを確認し,以下の3つの柱で研究を推進した。 1.近赤外顕微鏡とFTIRとの接続実験:市販の近赤外カメラ付顕微鏡とFTIRとの接続を試みた。近赤外顕微鏡鏡筒部から光を導出し,凹面ミラーで平行光にし,FTIR発光測定用ポートに導入した。この方法により,近赤外カメラでとらえた画像から絞りを用いてある領域からの光を抽出し,スペクトル測定を行うことが可能となった。 2.モリブデナイトの変質と近赤外スペクトル及びRe-Os年代との関係:CaCl_2,AlCl_3,NaCl,NaHCO_3水溶液,及び純水中で180度,20日間の条件でモリブデナイトの変質実験を行った。後3者では近赤外光に対する透過度に変化は見られなかったが,前2者では透過度が増加する部分が観察され,また,赤外領域の3250cm^<-1>付近に現れている吸収端が近赤外と可視光の境界へ移動したことが観察された。これは変質によってモリブデナイトのバンドギャップが大きくなったことを示している。また,モリブデナイトの近赤外光に対する透過度の増加は必ずしもRe-Os系の乱れと対応していないことが判明した。 3.近赤外光を用いた鉱物中の分子水の構造解明:近赤外吸収スペクトルが,OHイオンが共存する天然試料において,水分子のみからの情報を抽出できることを示した。ここでは天然ダイヤモンドの近赤外吸収スペクトルを感度よく測定し,ダイヤモンド中に水の高圧相である氷が存在することを見出した。
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