研究概要 |
本研究では,次世代以降の光磁気記録媒体を開発するための成膜および評価システムを試作するとともにこれを用いて磁気光学材料の開発とその基礎物性の検討を行った。光磁気記録の記録密度を上げるためにはまず,記録波長を短くし,微小なマークを記録する必要がある。この場合,記録信号を十分なC/N比で検出するためには短波長領域で磁気光学効果の大きな材料を開発しなければならない。本研究では,短波長域で大きな磁気光学Kerr回転角を示す材料という観点から,(1)Au-Co非平衡合金膜およびAu/Co多層膜,(2)CuPt型のPtCo規則合金薄膜,(3)貴金属/Co/貴金属サンドウィッチ膜,(4)MnPt_3規則合金膜および(Mn_<1-X>TM_X)Pt_3擬二元規則合金膜,(5)MnPt_3/CoおよびMnPt_3/CoPt_3人工格子,(6)希土類/遷移金属アモルファス膜薄の6つの材料を取り上げ,本研究で開発した成膜,評価装置を用いて試料の作製を行うとともに,膜の構造や磁気異方性,磁気光学効果について系統的な検討を行った。その結果,MBE法によって作製したMnPt_3とCoPt_3規則合金と組み合わせたMnPt_3/CoPt_3人工格子膜において大きな垂直磁気異方性を誘導することには成功した。また,(111)単結晶基板上にMBE法でCoPt合金膜を作製したしたところ,300℃で成膜したときには,CuPt型の規則合金となり,非常に大きな垂直磁気異方性を示すことが明かとなった。また,この膜の磁気光学Kerrスペクトルは,従来から知られているPtCo合金のものとは大幅に異なり,1.4eVで大きなピークを示すことが見い出された。
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