研究概要 |
本研究者等は,小形で比較的大きな出力が得られる導波形炭酸ガスレーザに着目し,レーザの側面に相当する導波路(AIN:窒化アルミニュウム)壁の一部を透過性材料(例えばZnSe)に置き換え,導波路からレーザ共振器の光軸方向に対して垂直方向に出力を取り出すことにより,面発光レーザ動作を行うことを提案・試作し,その基本動作を確認し,発光面積,出力の効率および放射特性の解明等において課題を残していた。 平成7年度科学試験研究に於いて、こら等の課題を解決するため、まず、一本の導波路構造の面発光導波形炭酸ガスレーザ(15cmx2mmx2mm導波路)を試作し、出力特性の測定および遠視野像の観測を行い、解析結果と比較検討を行った。その結果、面発光出力40mW、軸方向出力5.3Wを得た。また遠視野像の観測結果より回折広がり0.5度であった。出力解析結果と比較すると、試作したレーザの出力窓透過率0.12%の場合においてよく一致している。これより、面発光出力窓の透過率を増加させることにより出力の増大を計ることができることがわかった。また面発光出力における回折広がりは従来の軸方向出力に比べて鋭くなっていることを観測した。 次に、4本の導波路(2mmx2mmx8cm)を並列にしたフェーズロックアレイ導波形炭酸ガスレーザのフェーズロック動作をスペクトルアナライザーで確認するとともに出力特性の測定および遠視野像の観測を行い、軸方向出力180mW,面発光出力数10mWの出力を得た。上記と同様、面発光出力窓の透過率を増加させることにより出力の増大を計ることができることがわかった。また面発光出力における回折広がりは従来の軸方向出力に比べて鋭くなっていることを観測した。 これらの結果より、今後の課題として高出力化を図ることである。出力窓の材料および出力の取り出し方式を検討を行う。具体的には,まず透過性材料に誘電体コーテイングを施した出力窓および誘電体回折格子窓を開発を行うことにより実現できると確信している。
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