研究分担者 |
真鍋 鷹男 東芝機械株式会社, 中央研究所, 所長(研究職)
橋詰 等 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (50218400)
稲場 千佳郎 東京工業大学, 工学部, 助手 (10223231)
割澤 伸一 東京工業大学, 精密工学研究所, 助手 (20262321)
新野 秀憲 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (40196639)
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研究概要 |
本研究では,次世代生産環境のシステムマシンを構築するためには主軸構造の高度複合化が必要不可欠であるとの観点に立ち,多重主軸の有効性を指摘するとともに,その設計指針となる技術資料を提示すること目的として要素研究を実施し,それらの総合評価を行った.具体的な研究成果は以下のようにまとめられる. (1)多重主軸構造の基本的形態である二重主軸構造を対象に,過去数年間に製作した基本構造に対して通風冷却システムを新たに組み込み,二重主軸の構造特性を評価をするためのプロトタイプを構築した.そして,各種運転条件における主軸系各部の温度・変位挙動の計測を実施した結果,二重主軸の基本的な熱的特性を明らかにすることができた. (2)二重主軸の熱的特性は,軸方向に繰り出し運動を行う内主軸系と,その外側に位置する外主軸系をそれぞれ一つの熱システムと考えたとき,この両者の熱的バランスにより決定されることを明らかにした.また,この熱的バランスの形成に重要な役割を果たすと考察した主軸系内の空隙部に対して通風冷却を行った結果,当該部分の冷却を行うことで,主軸系の熱変形挙動の能動的制御が基本的に可能であることを実験的に明らかにした. (3)多重主軸構造における構成要素間の熱移動を記述するための熱的相関モデルを新たに提示した.そして,本研究で構築した二重主軸構造を対象に行った計算結果を実験結果と比較検討したところ,本モデルが,二重主軸の構造特性を検討するうえで重要となる「内外主軸系の熱的相互干渉効果」を評価するのに有効であることを示した. (4)構造の簡素化及びコンパクト化に有効であることから着目した軸受転走面一体化主軸について,従来形主軸とその力学的特性を比較することにより,多重主軸への適用可能性を検討した.両者の結果がほぼ同じであったことから,軸受転走面一体化主軸を多重主軸構造へ適用することの有効性を指摘できた.
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