研究分担者 |
岩下 寛之 東洋鋼板(株), 技術研究所, 副主任研究員
坂口 雅司 昭和アルミニウム(株), 研究開発部技術研究所, 所長
山崎 進 九州大学, 工学部, 助手 (70037993)
竹増 光家 九州大学, 工学部, 助教授 (40207006)
|
配分額 *注記 |
9,900千円 (直接経費: 9,900千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
|
研究概要 |
昨年度までの研究で,超音波振動付加によるしごき加工装置の基本的最適化を終了した.本年度はこれを用い様々な加工条件およびスケジュールで,超音波振動付加連続多段円筒しごき加工実験を行い,最終目標製品の加工を試みた.本研究では当初からしごき加工製品の洗浄工程を簡略化または省略することを目的としていたので,本年度は後処理が容易な潤滑剤(例えば揮発性潤滑剤など)のみを用いた.新たな試みとして,通常のしごき加工性向上の通念に反し,パンチ表面をラッピング加工すると共に,これにも低粘度潤滑剤を塗布して実験を行った.これにより加工中の超音波振幅の減衰量が大幅に減少すると共に,しごき荷重が80%以上も減少した.これは加工中試料とダイスの鏡界面に十分な隙間が生じ,潤滑剤が流入することにより,潤滑性能が大幅に向上したためである.さらにこれまでの研究から,表面のごく浅い部分(深さ0.1μm以下)に,極めて焼付きを発生しやすい層があることが判明していたが,これを800番の耐水ペ-パで取り除くことにより,潤滑油の種類に関わらず,1段のリダクションが30〜40%の厳しい加工条件でも問題となる焼付きを全く発生しなくなった.加工した試料表面性状を3次元表面粗さ解析システムにより詳細に調査した.その結果全段のリダクションが60%の場合,超音波を付加した場合には2段階の加工で最終目標の仕上げ面精度(Ry≦0.5μm)に達したが,付加しない場合には5段階以上かかることが分かり,表面粗さ向上の点からも超音波を付加することの効果が認められた.以上の結果から,しごき加工装置や工具および試料の最適化,さらに低粘度潤滑剤の利用などにより,本研究の目的であった"製品洗浄工程をなくす超音波振動付加によるしごき加工システムの開発"は十分に達成された.
|