研究分担者 |
安齋 秀伸 藤倉化成(株), 技術開発部, 研究職
都築 良彦 ブラザー工業(株), 品質技術センター, 部長
青山 英樹 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (40149894)
青山 藤詞郎 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70129302)
枝村 一弥 藤倉化成(株), 技術開発部・マネジャー, 研究職
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研究概要 |
本研究は,転がり案内された工作機械用テーブルに対し,電気粘性流体の粘性抵抗を利用したフイルムダンパを付加することによって可変減衰力機能を持たせて、切削送り時等の高い減衰能が要求される場合に必要な粘性抵抗を発生させて、びびり安定性を向上できる,新しいハイブリッドテーブルシステムの実用化を図ることを目的として,2年間の計画で研究が遂行された. 初年度では,(1)テーブルに付加する電気粘性流体ダンパの形状評価と決定,(2)実用化を念頭においたテーブルの試作が実施された.平成8年度はこれに引き続き,(3)動特性評価,(4)早送り,位置決め,切削送り等の実用時の運動モード下での性能試験,(5)マシニングセンタでの切削試験と切り屑対策の各項目について実験的研究を中心に行い,提案するテーブルシステムの実用化をめざした研究を実施した.得られた成果を以下に要約する. 1.試作したテーブルシステムの詳細性能評価を行った. 試作したテーブルシステムに,実機と同様な運動を行わせこの際の動特性を評価した.その結果,試作した電気粘性流体ダンパが有効に作用することを確認した. 2.切削試験による性能評価を行った. 試作したテーブルシステムを現有のマシニングセンタに取付けて、切削試験を実施した.その結果,電気粘性流体可変減衰機構により、切削中の強制びびり振動の発生が抑制されることが確認され,また,その結果として工作物加工面の表面あらさが向上することが明らかとなった. 3.以上の結果から,本研究で提案する電気粘性流体の粘性抵抗を利用した可変減衰機構を組み込んだハイブリッドテーブルシステムは,加工中には減衰力を増加させてびびり振動発生を抑制し,またテーブル早送り時には,粘性抵抗を減少させて摩擦抵抗損失を減らすことが可能であり,テーブルの高速化と高減衰性能の維持という2つの問題を解決できる.実用上有効な装置であることが示された.
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