研究概要 |
本研究では高精度鍛造加工を可能にする分流鍛造技術に着目し,低加圧・即時分流鍛造可能ダイセットの開発を行うと共に,適用可能製品輪郭形状と素材,潤滑処理の簡素化の可能性,並びに,分流鍛造の効果的な組み立て方に関する一連の検討を行った.まず,高性能ダイセットとして,既設油圧プレスのメインシリンダー部に上型歯形パンチ装着,エジェクター用油圧シリンダー部に下型歯形ダイ装着,上型歯形ダイ側方部に新規に2基の同期油圧シンリダ-を増設した3動作任意可動装置を考案し,設計変更や再調整を重ねることにより,円滑動作可能ダイセットが製作できた.そして,メインシリンダー部に圧力制御と位置制御,他のシリンダー部に位置制御のための検出器を装着し,各データーがレコーダーを介して処理できる自動計測システムを組み込むことにより,即時分流鍛造装置の開発ができた.本装置を使用した実験は,型破損回避のため,工業用純鉛を用いた.その結果,素材を型内に挿入して密閉鍛造を予備工程とした分流鍛造を実施できれば容易に5秒以内に収まり,低い加工面圧比で歯車の精密鍛造が短時間で実現できることが知られた.この成果を基礎として,今後,実用材への適用の可能性を探ることにしている.効果的な分流鍛造技術資料の一層の蓄積では,分流鍛造が市販の液体潤滑剤の使用の下で低炭素鋼や合金鋼などの精密鍛造に活用でき,さらに,両打ち機構による加工の採用で加工面圧の一層の低減が図れること,並びに,分流法の組み立て方に改良を加えればモジュールの10倍を越える歯幅の歯形製品も精度良く鍛造できることなどを明確にすることができ,これらの成果を積極的に論文発表した.なお,上述の操作は考案した複動可能ダイセットに組み込み可能となっている.
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