研究概要 |
本研究は、機械装置騒音を対象としたリアルタイム音場計測システムと解析法を構築することを目的として、まずマイクロホンを10×10本配列した2次元マイクロホンアレイと計測処理回路を製作した.2次元マイクロホンアレイを音源近傍に設置することによる音場への影響を,単一の走査型マイクロホンを用いて実験的に検討した結果,高周波において計側面の周辺で誤差が確認されたが,この計測結果を用いて音源探査を行なう場合には、大きな問題とならないことが確認された. 試作した計測システムは動的な音場を計測することができ,回転するアームにスピーカを取り付けた音源について音源探査を行なった結果,スピーカ位置の特定が50ms間隔で可能であることを実証した.また,インコヒーレントな音場の計測が可能であり,実際の機械装置騒音を計測する際に,位相分布を求めるための参照信号が騒音源に同期している必要がないことを実証した. 本計測システムによって計測された複素音圧分布から音源探査を行なう際に,音響ホログラフィと近距離音響ホログラフィ法を組み合わせた新しい音場解析手法を提案した.これは,音響ホログラフィと近距離音響ホログラフィの欠点をそれぞれ補完し,より効率よく音場把握を行なうための手法であり、試作した計測システムのリアルタイム性を活かして,積極的に計測位置を変えながら音源探査を行なう手法である.提案した手法は,オートバイや歯車試験装置の音源探査を行ない,その有効性を実証した.
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