研究概要 |
セラミックスは耐熱性がありながら,セラミックスベアリングが高温下で積極的に使用できないのは,金属ハウジングあるいは金属軸とのゆるみ過ぎや締まり過ぎが高温下で生じるためである.シュリンクフィッタを使用すれば,高温下におけるこのような不具合を解消できる. 本年度は,昨年度と同様6204相当のSi_3N_4セラミックスベアリングを用いて実験を行った.ハウジングおよび軸の材料はSUJ2であり,シュリンクフィッタ材料はA2017とした.実験温度は室温と200°Cである.実験装置に振動計を取付けて,ベアリングが破損して異常振動が生じた場合は自動停止できるようにした.潤滑油は熱媒体油(アルファサーモ)と合成油(ジェットオイル2)を用いた.隙間の影響を見るために,隙間400μmと50μmを与えた場合の実験を室温で行った.荷重は3430N (24h)から出発して,破損がなければ980N (24h)毎に上昇させた.隙間400μmと50μmに対して耐圧荷重はそれぞれ4410Nと6370Nとなった.次に,シュリンクフィッタを用いて実験を行ったところ,200°Cでの耐圧荷重は最大で7850Nと大幅に上昇した.これは,シュリンクフィッタを用いて隙間を小さくしたことにより,セラミックス外輪に作用する曲げ応力が低減された結果であると考えられる.セラミックスベアリングは,金属のものと異なり脆性材料であるので,隙間や締まり過ぎに非常に敏感である.今後は,実験装置の温度制御をより厳密に行い実験の再現性を上げていく計画である.
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