研究概要 |
本研究は,従来からの人工知能技術を援用したインテリジェントCADや,数理計画法による設計最適化・設計自動化などの設計シンセシスに対する支援技術をより実際的なものへと発展させていくことを目標として,エンジニアリングワークステーションサーバやワークステーションクラスタにおけるマルチプロセシッング技術を援用する一方,具体的な実規模の設計問題を取り上げた設計支援システムの構築を行ない,それによって得られる成果を体系化することにより,実践的な方法論を構成することを目的としたものである.当該研究期間における研究実績は次のとおりである. 1.設計における表現と処理の分散構造の分析とモデリング・・・設計処理を分散・並列化する基本として,設計問題表現や処理を階層化するための ″形態″による対象モデリングの方法を構成した. 2.設計処理の分散化に向けてのエージェント技術の構築・・・さらに,形態による対象モデリングを基盤としたマルチプロセッシングによる設計支援手法を実現するための基盤技術として,エージェント通信による分散並行協調処理を導入した設計支援システムの構成方法を考案し,船舶の基本設計を対象問題として,そのプロトタイプを構築した. 3.並列分散型設計最適化・・・様々な設計処理の中でも比較的定型的な最適設計の問題に対してマルチプロセッシング技術を適用する方法として,創発型最適化の方法を取り上げた.スレッドやソケット通信を用いた並列分散化技術のもとで,プラント計画や機構形状最適化の問題,自動車駆動系の最適化問題などに対して,遺伝的アルゴリズムなどの最適化手法を実装し,その効果を検証した. 以上により,実規模の設計問題におけるマルチプロセッシング技術の有効性と可能性を示すとともに,今後の課題を明確にした.
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