研究分担者 |
高林 博文 住友特殊金属(株), マグネット製品課, 課長(研究職)
大橋 健 信越化学工業(株), 磁性材料研究所, 室長(主任研究員)
村松 和弘 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30263627)
藤原 耕二 岡山大学, 工学部, 助教授 (20190093)
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研究概要 |
「超強力永久磁石の磁気特性標準測定法」の世界標準規格の原案を作成するための基礎研究を行った.本研究の成果を要約すれば,以下のようになる. 1.等方性材料のヒステリシス特性を考慮した三次元非線形磁界解析法の開発 等方性磁石の反磁界係数を磁界解析により検討するためには,磁気特性のヒステリシスを考慮して解析を行う必要がある.そこで,磁気特性としてM-B曲線を用い,また,等方性材料では磁化と磁界の方向が一致すると仮定して定式化を行い,ソフトウェアを開発した.その結果,等方性材料の反磁界係数の算出が可能となった. 2.電荷を未知数とした三次元非線形磁界解析法の開発 パルス法を用いた開磁路測定法において,試料中に流れる渦電流が測定精度に及ぼす影響を検討するため,コンデンサの充電電圧が既知で,巻線に流れる電流を未知とした場合の三次元磁界解析法を開発した.また,実測値と比較することにより,妥当性を示した. 3.測定精度に及ぼす諸因子の影響 (1)試料形状 円柱形状の試料を用いる場合,試料が細長くなると反磁界係数の値が小さくなるため,補正による誤差は小さくなる.また,試料の長さと直径が等しい場合は,磁束密度による反磁界係数の変化が少ないため,反磁界係数を一定と仮定して実測する場合には,試料の形状としては長さと直径が等しいものを用いるのがよい. (2)試料の磁化曲線 減磁曲線の勾配が急変する試料では,急変する部分で反磁界係数が大きく変化するので,反磁界係数を一定と仮定して実測する場合には,注意を要する. (3)加工劣化 試料表面の加工劣化が反磁界係数に及ぼす影響は,円柱試料の端面より側面の劣化の方が大きく,また試料形状が細長くなるとその影響も増加する. (4)渦電流 試料中の渦電流による保磁力の測定誤差を3%以下にするためには,パルス法の波形の勾配は,φ10×10の試料では,80T/ms以下にする必要がある. 本研究により,パルス法のような開磁路法を用いて,超強力永久磁石の磁気特性を精度良く測定するための指針が得られた.
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