配分額 *注記 |
17,900千円 (直接経費: 17,900千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1995年度: 12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
|
研究概要 |
高効率太陽電池材料の開発には,格子不整合系の化合物半導体ヘテロエピタキシ-技術の確立が必要不可欠である.しかし最も可能性の高いGaAs-on-Si材料系では,エプタキシャル成長機構に関する基本的な点で不明な部分が多く,実用に十分耐えうるものはまだできていないのが現状である.その問題点はGaAs中の高密度の貫通転位と残留応力とに大別される.前者の主要原因は格子不整合に起因したものであるか,同時に約2.6倍の熱膨脹係数の差による熱歪が,新たな貫通転位を発生させることが分かってきた.残留応力もまた熱歪が原因である.従って,格子不整合によるミスフィット転位をGaAs/Si界面に閉じ込めると同時に,熱歪が少ない低温成長技術の開発が必要であると考えられる. 本研究では,以上のような問題に対する基本的解決策として,原子状水素を援用した分子線エピタキシ-(MBE)法の開発を進め,GaAs薄膜の品質が大幅に改善されることを示した.これは原子状水素によって,(1)成長表面に吸着した不純物の除去,(2)表面拡散過程の制御,(3)表面エネルギーの修飾による二次元成長モードの促進,などの諸効果が現れるためである.そして,Si基板上のGaAsヘテロエピタキシャル膜の残留転位密度を10^4cm^<-2>台まで抑えること成功した(以上,平成7年度研究分).しかし高効率太陽電池材料として使用する場合には,転位も含めて少数キャリア寿命を短くする深い準位の欠陥を全体的に低減する必要がある.そこで平成8年度は,GaAs-on-Siにおける深い準位の導入と水素原子による欠陥の不活性化に関して研究を行った.DLTS法などによる電気的評価から,深い準位が水素原子によって大幅に低減されること,また水素によって新たな欠陥準位は導入されないことなどが分かった.これと平行して,GaAs-on-Ge系のヘテロエピタキシャル成長について研究した. 本年度は,これまでの結果と解析を踏まえて,GaAs系太陽電池デバイスの試作を行った.当初の予想どおり,原子状水素援用MBE法により作製した試料の方が,水素なしの通常のMBE法で作製したものより,分光感度特性,エネルギー変換効率ともに向上した.したがって,原子状水素援用の効果とこのエピタシ-法の有用性を十分に示すことができた.
|