研究課題/領域番号 |
07555111
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
電子デバイス・機器工学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野田 進 京都大学, 工学研究科, 助教授 (10208358)
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研究分担者 |
天野 浩 住友電気工業, オフトエレクトロニクス研究所, 主査
若原 昭浩 京都大学, 工学研究科, 助手 (00230912)
佐々木 昭夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (10025900)
矢野 浩 住友電気工業, オプトエレクトロニクス研究所, 主査
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
8,500千円 (直接経費: 8,500千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1995年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 集積デバイス / 光フリップフロップ / 円形回折格子 / ウエハ融着 / 質量輸送 / 面発光 / 光電子集積デバイス / 回折格子結合型面電光レーザ / マイクロマシ-ニング / マストランスポート / 空気 / 半導体回折格子 / 回折格子結合型面発光レーザ / 面発光デバイス / 電子ビーム露光 / 反応性イオンエッチング |
研究概要 |
現在、光はその高速性、並列性、大容量性から情報媒体としての重要性が認識され、光を用いた情報処理、画像処理等の実現が強く求められている。しかしながら、現在のところ、半導体レーザやフォトダイオード等の発光・受光デバイスを除いて、光の領域で動作しうるトランジスタやスイッチ等の光機能デバイスが現実のものとして提供されていないのが実状である。本研究においては、この要求に応えるべく、光領域で様々な機能デバイスを実現するとともに、これらの2次元アレイ化のための回折格子結合型面発光レーザ、さらに極低消費電力化のための新しい材料開発の研究を行った。まず、機能デバイスの研究においては、1個の半導体レーザと4個のフォトトランジスタを1ユニットとする集積デバイスを実現し、3値の光セット・リセット機能を実現するとともに、内部の光結合を検討することにより、動作の詳細を定量的に解明した。続いて、2個の半導体レーザと6個のフォトトランジスタを1ユニットする集積デバイスにより、光2値・3値フリップ・フロップ、無安定マルチバイブレータ等の新しい光デジタル機能を実現した。続いて、上記の機能の2次元アレイ化のため、デバイスの発光部の面発光化に取り組んだ。本研究では、光帰還は自然放出光で、光出力がレーザ光とできる回折格子結合型面発光レーザを用いることにした。特に回折格子として2次元面内で均一な発光を得るために回折格子が円形に並んだ円形回折格子を取り上げた。これは中央部から円形に拡がった光に対し、2次の回折によりレーザ発振を行い、1次の回折により面発光を得るものである。電子ビーム露光、反応性イオンエッチングからなるマイクロマシ-ニング技術によりInP基板上に円形回折格子を形成し、液相成長法により回折格子の埋め込みとレーザ構造の形成を行い、初めての発振を実現した。また確かに面発光が得られていることを示した。しかしながら、課題としては、しきい値の低減と、回折格子の埋め込み状態の面方位依存性に伴う発光パターンの不均一性があった。これらの解決のため、成長方法を液相法から、MOCVD法に代え、利得の増加のため活性層に多重量子井戸を用いることにした。さらに最も重要な改良点としては、回折格子の均一な埋め込みのため、エピタキシ-ではなくウエハ融着法を用いることにしたことである。ウエハ融着法は、半導体同士を重ね合わせた状態で水素雰囲気中で加熱し、融着一体化させる技術で、本研究ではこの技術を光半導体内部への微細構造物の形成に用いることができないかと考えた。この考えは、うまく的中し、半導体内部への空気/半導体回折格子の形成が非常に良好に形成されることが分かった。またウエハ融着時にマストランスポートと呼ばれる現象が同時に起こり、界面での電気的特性の向上にとって非常に良い影響を及ぼすことを見出した。これらの準備のもとに実際に空気/半導体回折格子を内蔵する回折格子結合型面発光レーザを作製し、室温連続発振を初めて実現し、高効率の面発光が得られることを実証した。以上、本研究により、独自のマイクロマシ-ニング技術を用いて新しい機能デバイス、その2次元アレイ化のための面発光機能の付加等の様々な成果を挙げることができた。
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