研究概要 |
この研究は,1)超音(弾性)波の伝播速度の応力依存性を利用して,非破壊的に構造物内及び表面付近の応力状態を求めると共に,2)伝播速度の低下と波動情報などを総合して劣化状態を推定する手法を開発することを目的とした基礎研究である.研究成果の概要は次のようである. 1)高精度超音波測定システムの整備と調整:現有のシステム高出力パルス発生器を追加して、入射波動を強力なものに改良し,現有のレーザー・ドップラー速度計と組み合わせた高精度波動計測システムを構成した. 2)ディジタルデータ集録・処理システムの開発:高速サンプリングのディジタル・オッシロスコープを用いて,波動データをディジタル化し,GPIBを介してコンピュータに集録し,LabVIEWを用いて演算処理,出力するシステムを整備した. 3)高精度波動伝播速度計測システムの精微と調整:前述のレーザー・ドップラー速度計と超音波シングアラウンド周期測定器,あるいはディジタル・オッシロスコープと組み合わせた高精度波動伝播速度計測システムを整備した. 4)音弾性特性の把握:岩石供試体について,圧縮繰り返し負荷-除荷下での応力履歴と負荷方向に垂直な方向の縦波および横波伝播速度変化との関係を求めた.これにより,地山初期応力を推定できることを示した. 5)高力ボルトの軸力推定:超音波縦波および横波の伝播速度の変化を測定し,高力ボルトの稼働時の軸力が推定できることを示した.測定波動を用いた欠陥検出逆解析:上記1)のシステムにより測定された波動を用いて境界要素法逆解析により,内部欠陥を検出する方法を開発した。 及び6)については,さらに詳細な研究が必要であるけれども,実用化できる可能性が示された.
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