研究概要 |
平成7年度に鎌倉市に設置した地震観測点において地震観測を継続し,1997年3月初旬に発生した伊豆郡発地震,1997年3月16日の愛知県東部の地震など、いくつかの地震記録を収集した.また,横浜市緑区北八朔地域においても台地と低地の異なる地形上において地震観測を行い,1997年8月9日の埼玉県南部,1997年12月6日の千葉県北部の地震など,いくつかの地震記録を収集した. 北八朔地域の地震観測においては,ほとんどの地震において台地上の地震観測点が低地上の地震観測点と比較して地震動強さが大きいことがわかり,その違いは最大速度で1.5倍程度,加速度スペクトル振幅で2〜3倍程度,計測震度で0.3程度であることがわかった.また、この地域における地盤特性の面的な推定のために高密度な常時微動測定を行った.その結果、常時微動から推定した卓越周期は泥岩上に堆積するローム層や洪積層の層厚と相関が高いこと、多摩丘陵上や低地の端部では推定される増幅率が小さいこと,などがわかった. この他,横浜市の高密強震観測ネットワークの観測点において常時微動観測を行い,ばらつきはあるものの常時微動の水平/上下スペクトル比の積分値と計測震度差に相関が見られることがわかった.この関係と戸塚区・中区・鶴見区において行った町丁目毎の常時微動観測結果を用いて,想定する地震における震度の分布図を作成した.その結果、推定震度が大きな地域は,沖積層やローム層が厚く堆積していることがわかった. 上記のような地震観測・常時微動観測の結果から,常時微動記録から強震時の地震動強さを推定しうることがわかった.しかし,推定法の精度をより向上させるためには,信頼性の高い地形・地質区分などの情報も加味する必要があることがわかった.
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