研究概要 |
我国では,1990年頃から,建設コスト縮減を目指して,社会基盤施設の設計・製作・架設の各段階における技術革新の導入が注目されるようになった.鋼桁橋に関して,徹底した合理化が推進された結果,コンクリート橋に比べて鋼橋の経済的競争力が増し,新設橋梁における鋼橋の割合が増加している.鋼橋の合理化は少数主桁化と横つなぎ材の簡素化,主桁フランジへの厚板の採用等に見られるが,圧延変厚鋼板(Longitudinally Profiled Plate=LP鋼板)を用いることにより,鋼重増加を最小に抑える工夫が取り入れられている.断強度,補剛板強度及びフランジの横座屈強度に関する評価法の確立が必要である。 本研究では,上述の変厚鋼板の強度評価に関する課題の中で, (1)I断面桁のフランジを想定した圧縮を受ける自由突出板, (2)小規模の箱断面部材のフランジを想定した圧縮を受ける周辺支持板, (3)箱桁橋のフランジを想定した圧縮を受ける周辺支持補剛板, を対象として,極限強度解析法,極限強度特性および設計法に関する提言を行った。さらに,極限強度解析のための前提条件となる,鋼材特性,残留応力などについてもデータの収集を行い,圧延変厚鋼板を活用した鋼橋の合理化への基礎資料を提供した。
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