配分額 *注記 |
11,800千円 (直接経費: 11,800千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1995年度: 9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
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研究概要 |
急崚な山岳地において頻繁に生起し,レーダー等でもモニタリングできない局地的集中豪雨について生起条件を抽出し豪雨生起後の降雨の時・空間分布特性を導くことによって,山地および都市の豪雨水害に対して実時間での降雨予測手法を防災システムの一つとして開発する事を目指し,3年の研究期間を通してラジオゾンデおよび地上水文観測装置を用いた観測と詳細な雲物理過程を考慮した積雲モデルによる解析を行った.それによって雹の生成を調査することが,豪雨の予知に対し重要であり,そのために空中の水蒸気分布を知ることが重要であるという結論が得られた.以下それぞれについてより詳しく述べる. 1)梅雨前線に伴う豪雨時の水文・気象観測を主として福井県九頭竜川流域にておこなった.主観測期間は1996年6月24日〜26日,1997年7月2日〜10日である.それ以外にも,1995年11月,1996年7月,1997年8月に都市と水体が豪雨に及ぼす影響を調査するために滋賀県木之本町周辺で補助的な観測を行っている.観測項目としては3時間毎の大気プロファイル,時空間的に詳細な地上降雨,およびXバンドレーダーによる雨域の移動の定性的観測である. 2)上述した観測データを用いて,豪雨をもたらすような積雲の発達・衰弱をつかさどる微物理過程に与える地形,風速,大気安定度,水蒸気の鉛直分布の影響に関して考察するために,詳細な雲物理過程を含み地形の影響を考慮することができる数値気象モデルを開発した.そのモデルを用いて考察した結果,雹の生成量の多寡が積雲からの降雨量に対し極めて重要な指標であること,雹の生成量を決定している要素として重要と考えられるものは中層の水蒸気とそれを上層に運搬する鉛直風の存在であることが示された. 3)雹の生成を直接観測できるものとして期待されるレーダーにとって地上降雨量と上空での反射因子との整合性の問題を解決するために,雨滴粒径分布の鉛直構造を考慮してレーダーを用いて降雨量を推定する手法を構築した. 4)雹の生成に不可欠と結論づけられた水蒸気を観測するためには新たな観測手段であるGPSが適切であると考え,GPSを用いて積雲スケールの水蒸気擾乱の抽出を行うための新たな式系を開発し,その検証を観測されたデータを初期値として数値計算によって導出された水蒸気情報を用いて行い,良好な結果を得た.さらに1995年度の滋賀県信楽町の京都大学超高層電波研究センター信楽MU観測所近辺のGPSデータによって同上の式系を用いて解析を行った. これら結果から,ドップラーレーダーなどによる鉛直風成分の観測とGPSによる水蒸気擾乱抽出手法が,豪雨の予知にとって効果的であることが結論づけられた.
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