研究概要 |
桜島火山の噴火活動に伴う火山灰が市街地に降下する,いわゆる降灰の除去対策の一環として,車両走行路面上に降下した火山灰を短時間で散水・除去し,道路環境の保全と交通の安全確保を目的として,機械的可動部をもたず,またメンテナンスを全く必要としない降灰除去・散水装置の開発に関する試験的研究を行った.そして,水噴流の自己発振作用を応用したいわゆる流体論理素子の作動原理を用いて,円形形状の降灰除去用散水器を考案した.この開発した散水器を用いて,散水器内径や散水器出口幅,および圧力回復孔直径などを同じくして,散水角度に及ぼす散水器入口圧力や散水器設置角度の影響などを流れの画像処理装置を用いて調べた.また,この散水器を用いて桜島降灰を道路面とみなしたパネル面上に散布した場合の降灰除去試験もあわせて行った. 得られた結論の主なものは以下の通りである. (1)散水器の入口圧力が98(kPa)から465.5(kPa)の範囲において,入口圧力の上昇とともに散水角度も次第に上昇する. (2)散水器の設置角度が0°,すなわち水平に設置された場合が散水角度は最も大きく,これより下に傾けるにしたがって散水角度は次第に減少する.そして,設置角度が70°を越えると散水角度は急激に減少する. (3)散水器の設置高さが減少するにしたがって,降灰除去も効率よく行われる.そして,散水器入口圧力が465.5(kPa)で,設置高さが20cmの場合には,除去された降灰の移動距離は約30cmである。
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