配分額 *注記 |
9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
1997年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
Ti_<50>Pd_<50-x>Ni_x(0【less than or equal】x【less than or equal】50)高温形状記憶合金の特性改善をめざして各種の実験を行い以下の結果を得た.(1)高温形状記憶合金の高温での特性評価は,各部での熱膨脹が入るため測定が難しいが,差動トランスを用いた新しい評価装置を開発した.当初問題があったが,これは伸びを取り出すロッドの熱膨脹のためであることが分かり,ロッドを鋼から熱膨脹係数の極めて小さい石英に換えることによって解決した.(2)特性改善のためのB添加は粒成長の阻止,ひいては靭性の向上に有効であることが分かった.又時効析出効果を利用するため当初ねらったTiB_2の析出も実現できたが,析出物が大き過ぎ有効でないことが分かった.このTiB_2の粗大化は前処理としての均質化熱処理によることが分かったので,以後均質化処理は行わないことにした.(3)B添加による時効析出効果があまり有効でないため,Ti_<50+x>Pd_<30>Ni_<20-x>合金において,Ti濃度を化学量論的組成からズラすことを試みた.この結果,Ti-rich側では変態点を下げることなく,時効析出効果を利用でき,特性改善に有効であることが分かった.(4)Ti_<50>Pd_<30>Ni_<20>合金をベースにして,これにB添加したもの,Ti濃度をTi-rich側にズラせたもの,両方を利用したものの4種類の合金に対し,組成及び熱処理の最適化を図った結果,組成をTi-rich側にズラせたものを773Kで1h時効した試料の形状記憶特性が最適であるとの結果を得た.(5)この合金の回復・再結晶について極めて興味深い結果が得られた.つまりマルテンサイトの逆変態が,回復・再結晶をコントロールしていて,回復・再結晶は逆変態を追いかけるように起こることが明らかになった.(6)今回マルテンサイト状態の再結晶という極めて興味深い結果を得たが,このことはこの再結晶が,高温形状記憶合金の使用上限温度の一つになることを意味している.(7)新しく開発した装置による繰り返し試験を行っているが,高温での繰り返し試験は,約10h/本と非常に時間がかかるため,次年度以降も研究を続行する予定である.
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