研究概要 |
セラミックス微粒子の表面に異なる相をコーティングをした多層コーティングコンポジット微粒子の作成した.構造中に修飾元素を含む界面活性剤を液相中で固相粒子表面に吸着し,コーティングした粒子の作成技術,および混合溶液あるいは超微粉を分散した溶液を超音波噴霧し,乾燥・熱分解過程で多層コーティング微粒子を作成する技術の確立を目指した. 前者では1次粒子径0.08μmのイットリウム安定化ジルコニア(YSZ)表面にチタニウム・トリイソステアロイル・イソプロキシド(TTI)を吸着させ,Tiの均一コーティングを実現した.YSZ粒子をTTIを用いてデカン中分散したところ,ほぼ1次粒子径まで分散可能であった.この分散粒子を液中で遠心沈降させた微粒子堆積膜を作成し,その焼結体の組成分析を行ったところTiの設定組成に一致した均一な膜が得られた. 後者ではモデル材料にPdを用い,各粒子表面に微量のCaやSiO_2を析出させたコーティング微粒子を作成した.3種類のPd原料を検討した結果,Pd(NO_3)_2を用い合成条件を最適化すると合成中に加水分解による沈殿が生成することで中実粒子が実現でき,粒径制御も可能となることを見いだした.Caの添加量が55ppmから1wt%の範囲では,Caが粒子表面および粒界に選択的に析出した状態が実現できた.粒子の酸化挙動を観察すると純粋なPdの場合と異なり表面に緩密な酸化層が生成することによって,Pd粒子の酸化率が大幅に抑制されコーティングの効果が得られた. また,Pd(NO_3)_2溶液にコロイダルシリカ超微粒子を分散することにより噴霧液滴の乾燥結晶化過程においてSiO_2が粒子表面に選択的に偏析することを明らかにし,これを利用してSiO_2をコーティングした微粒子を合成した. セラミックや金属微粒子表面に他元素を均一コーティングした複合微粒子を開発することで新規な特性が得られた.
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