研究概要 |
最近,工業製品に対して多機能化や高品位化が要求されており,それらを実現化するためには,その構造材料として従来から使用されてきた鋼,鋳鉄だけは不十分である. それに対して現在インテリジェントマテリアルやCMCなどのユニークな新素材が開発されているが,単純な一次元の傾斜機能を有する材料や2,3の異方性を有する材料程度が実存するだけで,バラエティに富んだ物性値分布の構造材料を提供する新素材は実存しない. そこで,本研究では,著者らが開発したセラミックスレジンコンクリートの製作方法を応用し,三次元方向に傾斜機能特性を持つインテリジェントマティリアルの開発を行なった. その結果として以下の結論が導かれた.(1)所望の特性値を得るための材料と重量比を計算するプログラムの計算誤差は,密度5%,ヤング率15%,熱伝導率20%,比熱6%,線膨張率6%程度であり,本材料を製作する際に利用が可能である.(2)三次元傾斜機能特性を有するセラミックスレジンコンクリートの製作技術を確立した.(3)本材料は接合部に連続した両骨材からなる中間層が形成され,連続した一体構造物と見なすことができた. (4)意図してびびり振動発生限界を遅引することを目的に,三次元傾斜機能特性を有する刃物台を製作し,シェービング加工による実切削を行った結果,表面粗さR_aが0.2mm以下の高品位表面をコンスタントに生産でき,後の研削加工を省略することができた. このように,本パウダーコンポジットは多機能・高品位な工業製品を開発するための構造材料として有効であると考えられる.
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