研究概要 |
本研究において、初期活性化が容易であるために実用化の先行している希土類-Ni(LaNi_5)合金合金を選び、アモルフォス化⇒熱処理により、ナノサイズのLaNi5結晶粒をアモルフォス母相中に分散させた組織を得ることによりニッケル水素電池の長寿命化を計ることを目的とし実験を行い、以下の結果が得られた。 (1)LaNi5結晶粒をアモルフォス母相中に分散させた組織を有する合金開発 アモルフォス形成元素であるBを添加したLa-Ni-B系合金において、メルトスパン法により広い組成範囲でアモルフォス相が形成された。次に、得られたアモルファス合金よりLaNi5相が結晶化する温度は約500℃以上であり、熱処理によりLaNi5相が晶出した合金組成は(LaNi5)0.8〜0.7(LaNi_<12>B_6)0.2〜0.3合金等であった。これらのLaNi5相が微細に結晶化した組織を有する試料について、PCT(圧力-組成等温線)曲線を測定した結果、アモルフォス相はほとんど水素を吸収しなかったが、熱処理により結晶化させた試料は水素吸蔵量は増加し、約0.9mass%であった。 (2)B量の少ないLa-Ni-B系合金のアモルフォス化とその吸蔵特性 さらに、B量を低下させ、Laリッチな組成において添加元素によりLaNi_5合金に近い組成合金(LaNi_3B_<0.5>M_<0.5>(20at%La,10at%B)合金,LaNi_<3.25>B_<0.25>M_<0.5>(20at%La,5at%B)合金,LaNi_<4.85>B_<0.3>M_<0.5>(15at%La,4.5at%B)合金等をアモルフォス化することを試みることから着手した。その結果、LaNi_3B_<0.5>M_<0.5>合金のみが非晶質化し(M=Fe,Ga,Mn,Si,Sn)、その他の合金では、LaNi_5合金単相が得られた。しかし、非晶質合金の水素吸蔵量は0.6mass%程度であり、LaNi_5合金の約半分であった。一方、LaNi_<3.25>B_<0.25>M_<0.5>(20at%La,5at%B)合金は急冷後、LaNi_5合金単相であったにも関わらず、水素吸蔵後アモルフォスとなった。これは急冷効果により、LaがNiサイトに強制的に置換させられたものと解釈される。しかし、LaNi_<4.85>B_<0.3>M_<0.5>(15at%La,4.5at%B)合金は全ての添加元素において、2MPaで約1mass%以上の水素吸蔵量がみられた。30サイクル試験後の粒度分布を測定すると、Feを添加した合金についてLaNi_5合金より優れた耐微粉化特性が観察された。
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