研究概要 |
本研究は,耐摩耗性の向上を目的として減圧プラズマ溶射法を用いてセラミック被膜を製作し,その応用に関して研究を行った。特に,耐スラリーエロ-ジョン性を定量的に評価し,減圧プラズマ溶射によるコーティング被膜作製の施工性、安定性、経済性及び応用性などを考慮し,最終的にCr_2O_3とAl_2O_3とサ-メットの3種類を選んだ。なお、傾斜機能被膜の開発も減圧プラズマとレーザ溶射法でそれぞれ実施した。 試片は最初の平板状(円盤)から二次元および三次元の要素を同時に含むインペラ-模擬品まで作製し、当研究室で開発された隙間噴流装置と回転式装置を用いてその試片の耐スラリーエロ-ジョン性を評価した。スラリーはそれぞれ珪砂系、石膏系、フライアッシュ系、石膏+フライアッシュ系などであり、スラリーの濃度は30wt%(隙間噴流装置)と60wt%_<max>(回転式装置)に固定した。 試験結果によると、溶射条件はコーティング層の耐スラリーエロ-ジョン性に対して、大きな影響を及ぼすことが分かった。例えば、被膜を作製するときのアンダーコートの有無、封孔処理の有無、熱処理の有無、減圧状態などにより、その付着性や、腐食性、耐スラリーエロ-ジョン性などが異なることが分かった。 スラリーエロ-ジョン試験によると、セラミックコーティングされた試片は金属基材よりも耐スラリーエロ-ジョン性が良いが、その中でもサ-メット被膜はスラリー粒子の衝突角度などに関係なく、耐摩耗性が特に優れることが分かった。しかし隙間噴流装置の中ではスラリー粒子の衝突角度、濃度が試片の場所により異なる。そこで、スラリー粒子の衝突角度、衝突頻度(濃度)などを理論的及び実験的に推測した。スラリー環境では、珪砂系が一番厳しく、次はフライアッシュ系であり、一番弱いのは石膏系スラリーであることが分かった。 腐食試験では、浸漬と電気化学試験を実施した。その結果によると、封孔処理の有無は耐スラリーエロ-ジョン性に影響はないが、耐腐食性に対してはかなり影響を与えることが分かった。
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