研究分担者 |
田口 整司 川崎製鉄(株), 鉄鋼研究所, 部長(研究職)
福山 博之 東京工業大学, 工学部, 助手 (40252259)
須佐 匡裕 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90187691)
丸山 俊夫 東京工業大学, 工学部, 教授 (20114895)
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研究概要 |
1.緒言 : 本研究で対象とする鉄スクラップは,モーターのコイルやトタン,ブリキ等のように不純物が物理的に接触している状態のいわゆる市中屑である.本研究で用いた方法では,酸素と塩素の混合比を調整することにより,鉄の表面に酸化保護膜を生成する一方,銅や亜鉛,スズは塩素と激しく反応して塩化物ガスとなり除去される.まず,塩素ガスによる鉄と銅の分離除去の可能性を熱力学的に検討した後,速度論的な実験を行い,最適条件を決定した. 2.方法 : 透明石英管内に,鉄あるいは銅の板の試料を磁性ボ-トに乗せて入れ,窒素ガスで炉内を置換した後,抵抗炉で加熱した.反応温度は734〜1200Kとした.所定の温度に達した後,O_2-Cl_2混合ガスを300ml/minで流して反応を開始した.反応後,試料の質量を測定し,反応生成物の同定と,試料表面および断面の分析を行った. 3.結果 : (1)734〜1200K,O_2-5,10,20%Cl_2混合ガス中では,鉄は酸化鉄の生成と塩化鉄の蒸発が同時に起こる.銅は塩化銅の状態での蒸発が活発に起こる. (2)鉄と銅を分離するための最適な温度とガス組成は,1100K,O_2-10%Cl_2である. (3)直径1mm,長さ60mmの銅線を鉄板に巻いた試料では,1200K,O_2-10%Cl_2混合ガス中で30min程度反応させると銅線は蒸発し,鉄と分離できる.この場合,鉄と酸化鉄との界面に銅が析出するが,その量は蒸発量に比べてごくわずかである. (4)銅の分離の反応は鉄と銅の形態によらない.
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