研究概要 |
深海の静圧頭を利用して逆浸透法海水淡水化を行う装置を開発するために,管型逆浸透膜の中心軸に丸棒を挿入し,環状の海水流路を形成させた海水淡水化装置を,東シナ海洋上において,海面下300m〜600mの深さに懸垂し,淡水を取得する実験を行った.その結果,本装置を用いて,電力無しで容易に海水から淡水を取得できることを明らかにした. また,管型逆浸透膜と丸棒の隙間の流路幅が狭い環状海水流路内に発生する濃度差に基づく層流自然対流場を数値解析し,各点の速度分布,濃度分布および圧力分布を求めた.その結果に基づき,流路幅,流路長さ,懸垂深さ,膜の淡水透過係数および海水の物性値から,装置全体の淡水透過流量を予測する無次元式を導出した.透過淡水流量は,流路幅が減少するにつれ増大し,およそ1〜2mmで最大値を示したのちに減少することがわかり,流路幅に最適値が存在することを明らかにした. 淡水透過流量の実験結果と解析結果が良好に一致することを示し,数値解析によって海水淡水化装置の最適設計が可能であることを確認した.
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