研究概要 |
光触媒による微量有害有機物質の酸化除去において高い効率の光触媒を開発するために、Rectangular型トンネル構造を持つM_2Ti_nO_<2n+1>(M=アルカリ金属、n=6,8)、およびPentagonal-prism型トンネル構造をもつBaTi_4O_9チタン酸塩に助触媒として、遷移金属(Mn,Pt,Cu,Co,Fe,Ru,Ir,Ta)の塩化物あるいは硝酸塩を含浸法により0.2〜1.5wt%で担持し、大気下848Kで酸化処理あるいは還元酸化処理を光触媒とした。トルエンの酸化反応に対する光触媒の反応効率を(空気+トルエン)および(水蒸気+空気+トルエン)反応系で調べ、高い反応活性を得るには水蒸気の存在が重要であり、水の分解反応に対する光触媒活性を高めることが重要であることを示し、RuO_2担持BaTi_4O_9光触媒の場合に最も高い活性が得られることを見出した。チタンイソプロポキシドと水酸化バリウムを用いるゾル-ゲル法によりBaTi_4O_9を作成し、600℃の加熱よりBaTi_4O_9によるX線回折ピークが出現し、またラマンスペクトルにも860cm^<-1>の高波数に吸収ピークが現れ結晶化が進むこと、およびRuO_2担持した場合に水の分解反応に対する活性はBaTi_4O_9の結晶化とともに増加することを示した。酸素存在下77Kでの光照射によりBaTi_4O_9では、g=2.018およびg=2.004に強いESRスペクトルシグナルを与え、このピークは、酸化物表面での電荷移行によって生じた格子酸素のO^-に帰属され、トンネル構造の表面では光励起電子と正孔の分離が効率よく起こることを見出した。トンネル構造酸化物では、TiO_6八面体構造に特有な局所的分極場および長短のTi-O結合の存在が、高い光励起電荷分離能を与え、高活性な光触媒作用をもたらすことを明らかにした。
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