研究概要 |
本研究では臭化銅(II)-t-ブトキシドを用いる新しい酸化プロセスの開発、及び三級アミンを用いるより経済的な銅(II)酸化剤の開発について検討を行った。 1.脱炭酸を伴う酸化反応の開発;α-ヒドロキシ酸に二等量の銅(II)酸化剤を作用させると脱炭酸を伴って酸化が進行し、対応するケトンが得られた。一方α-アミノ酸の酸化ではアミンのイミンへの酸化とα-イミノカルボン酸の脱炭酸的な酸化が連続的に進みアルカンニトリルが高収率で得られた。 2.ヒドラゾンの酸化によるgem-二ハロゲン化物への変換;無置換ヒドラゾンにハロゲン化銅(II)とt-ブトキシリチウムを作用させると対応するgem-二ハロゲン化物がハロゲン化ビニルの副生を伴わずに選択的に得られることが判った。 3.ジヒドラゾンのアセチレンへの変換;1,2-ジケトンから誘導されるヒドラゾンと銅(II)酸化剤の反応により、定量的な収率で対応するアセチレンが得られた。 4.ジオールの酸化的開裂による非対称1,6-及び1,5-ジケトンの合成;シクロアルカン1,2-ジオールを銅(II)酸化剤で処理したところ酸化開裂反応が進行し、1,6-及び1,5-ジケトンが高収率で得られることが判った。 5.新しい銅(II)酸化剤「臭化銅(II)-トリエチルアミン」の開発とヒドラゾンの酸化反応への応用;比較的高価なt-ブトキシリチウムの代わりにトリエチルアミンを臭化銅(II)と組み合わせ用いることにより、ヒドラゾンのgem-二ハロゲン化物への変換,1,2-ジケトンジヒドラゾンのアセチレンへの変換が可能であることが判った。
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