研究概要 |
本研究では,低いイオン強度域においてもパイロジェン(エンドトキシン)選択吸着能を維持できる新規吸着剤の開発を目的とし,橋かけN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)球状粒子を調製した。同粒子のエンドトキシン選択吸着能,とくに酸性タンパク質溶液からのエンドトキシン選択除去能について詳細に調査した。同粒子は以下のような特長を示した。 1)橋かけDMAPAA粒子は、ワンステップ共重合によりアミノ化と粒子化が同時に可能なため,粒子化後にアミノ化を行なうことによる粒子の細孔径の増大が生じることなく,粒子の細孔径を容易に制御でき,M_<lim>500以下〜43000,アミノ基含有量:1.0〜5.1meq/gの球状粒子が得られた。この好条件が同粒子のタンパク質吸着能を著しく低下させることができ,エンドトキシン選択吸着活性を上げることができた。 2)ジビニルベンゼン(DVB)を橋かけ剤として用いたDMAPAA-DVB粒子(アミノ基含有量:5.1meq/g,M_<lim>:4000)は,DMAPAA由来のカチオン性とDVB由来の適度な疎水性の相乗効果により,従来の吸着剤ヒスチジン固定化セファロースに比べ,幅広いイオン強度域(μ=0.05〜1.0)および幅広いpH域(pH5〜9)で高いエンドトキシン吸着能を維持できた。 3)DMAPAA-DVB粒子は,ナチュラルエンドトキシンの混在している種々の酸性タンパク質溶液からタンパク質を吸着することなく,エンドトキシンのみを吸着除去し,処理後のタンパク質溶液のエンドトキシン濃度を0.1ng/ml以下にすることができた。
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