研究分担者 |
沢田 守 (株)日本港湾コンサルタント, 神戸事務所, 次長
大塚 耕司 大阪府立大学, 工学部, 助手 (90213769)
肥後 靖 広島大学, 工学部, 助教授 (20156582)
高木 幹雄 広島大学, 工学部, 教授 (00038556)
信川 寿 広島大学, 工学部, 教授 (60034344)
|
研究概要 |
人工環礁を利用した海洋環境浄化と浮体構造による環境に優しい海洋空間利用システムの構築を目的とし,平成7年度から2年間にわたり,1)海洋の空(人工環礁)の機能とその利用に関する調査研究 2)浮体構造による海洋空間利用システムに関する研究3)人工環礁(海洋の空)を用いた水質浄化システムに関する基礎研究などの題目について研究を実施し,その成果を以下のようにとりまとめた.すなわち,1)浄化防波堤の設計においては,(1)波浪を砕波させる,(2)曝気させる,(3)波浪や潮汐などの水位差により接触酸化が促進されるなどの機能を具備させる必要がある.2)空(うつろ)と浮体構造を組合わせた海洋空間の利用においては,浮体構造のみを利用した場合の問題点が全て解消され,建設コストや工期を推算すると人工島立地に比べ浮体立地の方が有利であると結論した.さらに,水質浄化機能によって海洋の機能を保持しながら海洋空間を多目的に利用できる可能性がある.3)空(うつろ)の海象,水質および底質の実地調査研究より,(1)外海からの波浪,特に低周波数の波浪は,空(うつろ)の堤体により著しく減少させられる.(2)この調査から得られた消波効率は水理模型実験により得られた結果とほぼ一致し,空(うつろ)内の波浪状況は実験値を用いてほぼ推定可能である.(3)空(うつろ)はSS(浮遊懸濁物)の除去に対し特に効果がある.(4)水質浄化効果は季節により大きく変化する.4)空(うつろ)の水質浄化機能には,物理的な過程だけでなく,生物的,化学的な過程が主要因として含まれるため,その効果を定量的に評価するためには生態系モデルを含む複雑な数学モデルの導入が必要となる.また,そのモデルに必要なパラメタの確定のためには,定期的な水質および生態の調査が必要である.
|