研究概要 |
岩盤が不安定になっておおきな崩落にいたるときには,かならずそれに先行する準備段階(マイクロクラッキングの加速と局所化)があることがしられている.マイクロクラッキングによって発生するAEは地震ときわめてにているから,地震計をはりめぐらせて,刻々とおこる微小地震をマップしてゆくように.監視したい岩盤にAEセンサーのネットワークを設置してAEをモニターすれば,岩盤の状態を判別できるはずである。しかし,このような理想的な監視が可能なケースはかぎられており,これにかわる現実的方法は,岩盤に聴診器をつけるように,簡単なAE波のブロービングをおこない,AEの発生頻度がある経験的な閾値をこえたり,ある加速トレンドをもつにいたると警報をだす岩盤監視システムをできるだけ安価に実用化することであろう.このようなシステムは,現在のエレクトロニクスの流れをかんがえれば,コンピューターの機能と信号処理の機能をもつデジタル信号処理システム〔DSP〕で構成するのが主流になると考えられる.このようなシステムを採用したときには,現場のノイズに汚染された環境で,AEセンサーにうかった波が,正真正銘AEだと認識・判断するフィルターまたはアルゴリズムが不可欠である.そこで,DSPに簡単にインストールできて,高速な演算が可能なアルゴリズムをいくつか検討した結果,∫√Edtを計算しその2度微分から,システムのエネルギー状態の変化を検出する方法がもつとも有効なひとつであることがわかった。しかも,このアルゴリズムは,現場で予想されるAE波の周波数レンジ〔〜100kHz〕に対してリアル・タイムで検出情報をだせるとかんがえられる.
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