研究分担者 |
渡辺 隆之 CRC総合研究所(株), 構造技術部, 部長
杉田 雄二 中部電力(株), 電力技術研究所, 主幹研究員
徳田 正孝 三重大学, 工学部, 教授 (90023233)
劉 彦 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (10262859)
田中 英一 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00111831)
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研究概要 |
本研究は,損傷力学と有限要素法を組合せ,構造要素における劣化・損傷の発達と微小空隙の生成・合体による巨視的き裂の発生,ならびにその成長による損傷・破壊の全過程を正確に計算機シミュレーションする技術を確立しようとするものである.これによって各種大型構造物に対する破壊予測・寿命評価システムを開発する. 本研究によって得られた主な成果は以下のとおりである. 1.汎用有限要素法プログラムに損傷発展式と非弾性構成式を組込むとともに,損傷変数が臨界値に達した要素(すなわち破壊状態にある要素)の集合を巨視的き裂とみなすことによって,損傷・破壊シミュレーションシステムを開発した. 2.高温機器の破壊を支配するクリープき裂進展の解析システムを確立するため,解析結果の有限要素依存性の原因を検討し,損傷発展式の応力敏感性と,き裂先端応力特異性に対する先行損傷場の影響を明らかにした. 3.原子炉圧力容器用鋼SA508の平滑丸棒試験片の試験結果から,低サイクル疲労に対する損傷力学理論を定式化し,これを用いて切欠き丸棒試験片の疲労損傷過程を解析した. 4.損傷発展式の系統的定式化の枠組みを構築するため,gibbsの熱力学ポテンシャルに基づく弾塑性損傷理論を展開した.その妥当性を検討するため,球状黒鉛鋳鉄の組合せ弾塑性損傷実験を行い,その損傷面と損傷ポテンシャルの存在を証明した. 5.損傷力学と有限要素法を組合せた損傷・破壊シミュレーション法における有限要素依存性の数学的構造を明らかにするために,き裂先端の応力特異性に対するき裂先端近傍損傷場の影響を解析し,応力場が非特異となるための条件を示した. 6.銅有孔板のクリープ破壊過程におけるき裂先端の微視的空隙分布を測定するとともに,これをシミュレーションによる損傷・破壊領域と比較することによって,解析結果の有限要素依存性を抑制する方法を提案した.
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