研究概要 |
本研究は、金型自由曲面CAD/CAMシステムのヒューマンインターフェース部に人工現実感生成技術を導入し、仮想空間内の自由曲面モデル形状や工具モデルを直接操作しながらCAD/CAMシステムへ指示を与えることのできる「仮想クレイモデリングシステム」ならびに「仮想倣い加工システム」の試作と開発を行ない,その応答性およひ操作性を実験的に評価することを目的としている.本年度の研究実績は,以下のようにまとめられる. 1.「仮想クレイモデリングシステム」の開発においては,自由曲面の切削による造形作業を仮想空間内で模擬するため,切削工具の運動を認識し,形状モデルからの疑似的な切削抵抗を操作者へ提示可能な,受動形力提示デバイスを用いたシステムを試作した.まず,実験に基づいた切削抵抗予測式の構築法,切削による形状変化をリアルタイムに計算するZ-mapデータに基づく切削シミュレーションアルゴリズム,Z-mapデータから曲面形状モデルへの変換手法を明らかにした.次いで,力提示デバイスを電磁パウダーブレーキを用いて実現し,自由曲面形状モデルの造形が可能であることを実験的に確認した.さらに,仮想空間における工具の位置決め実験を行うことにより,切削抵抗の力フィードバックを与えた場合,形状モデルに対する切削工具モデルの位置決め精度,操作時間を共に向上できることを実験的に検証した. 2.「仮想倣い加工システム」の開発においては,仮想空間内において曲面形状モデル表面を倣うことのできる能動形力覚提示デバイスを用いて,曲面切削用の工具経路データを直接操作で能率良く教示できるシステムを試作した.まず、リニアサーボモータユニット3台に力帰還形制御を適用し,高い応答性と剛性を有する能動形力覚提示デバイスを作成した.また,自由曲面形状モデルに対するプローブモデルの高速干渉チェックアルゴリズム,ならびにプローブモデルをモデル上へ高精度に位置決めするための補正アルゴリズムを明らかにした.さらに仮想空間内での倣い作業実験を行い,本システムが制御周期3ms以内,工具経路生成精度±0.1μmなる性能を有しており,曲面切削用NCプログラミングへ十分利用可能であることを確認した.
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