研究概要 |
本研究は,工場における生産活動を「仮想生産システム」と呼ぶコンピュータの内部モデルとして表現することを試み,CIM環境下における意思決定をシミュレーション的に支援する機構を整備することを目的としている.特に,今後工場内において分散型情報ネットワークが構築されること,大規模シミュレーションにおける応答の高速性を実現するために分散処理を行うことが効果的であると考えられること,意思決定組織の分散性をモデル化するためには自律性を持つ分散システムの構築が必要であること等の特徴を考慮にいれて,自律分散型仮想生産システムを分散型シミュレーション・システムとして実現することを試みた. 生産活動モデルとしての基本的要求事項を整理し,柔軟な仮想生産システムを構築しうる要求仕様を策定した.また,既存のシミュレーションソフトウェアについて調査し,本研究に対する表現機能や適用可能性から検討した.特に,分散型シミュレーション・システムとしての利用可能性を通信機能及び拡張機能の点を中心に検討した.分散型シミュレーション・システム構築の核となる要素システム間の通信と同期の問題を検討した.同期法として,既存の方法について検討するとともに,バッケット法と呼ぶ方法を提案した.シングルフェーズド法とダブルフェーズド法に拡張することにより,シミュレーションの精度と速度を勘案したシステム横築を可能とした. 以上の成果を総合してプロトタイプ実験システムの構築を試みた.全体的な問題の抽出パケット型同期法の特性などについて実験し,提案した仮想生産システムの有用性,将来性を実証するとともに,今後の課題を明らかとした.
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