研究概要 |
本研究は,マイクロマシニング用の超精密放電加工装置を試作することを目的として,平成7年度より平成9年度まで3年間行われた.以下にその概要を述べる.まず第1年目は,超精密放電加工装置の試作を行い、微細加工に適したコンデンサ放電タイプの新しい放電加工装置を完成させた.ついで第2年目には,加工能率を上げるためと微細複雑形状をできるだけ単純形状の電極で創成加工を行うために,微細な直角二等辺三角形断面形状を有する細長い電極を引き抜き加工によって作成するという方法を開発した.ここで作製した電極のサイズは一変が0.3mmである.電極の材質としては,引き抜きの容易さと放電加工の特性を考えて,銀を使用した.さらに,第3年度においては,この成形電極を使用して各種複雑微細形状の加工を試みた.まず,単純なピアシング加工を行い、加工条件と加工結果の関係を明らかにした.次に,この直角三角形穴を組み合わせて,各種多角形形状,星形形状,文字等の加工を試みた.組み合わせる場合の座標を,顕微鏡下で調整することによって精密な加工が可能であることを明らかにした.つぎに,引き抜きでは電極角部の丸みをあまり小さくできないので,この部分の丸みを減少させる方法について検討した.ここでは,銅片を用いる逆放電によって2.5ミクロンから10ミクロン程度まで減少させることが可能であることを示した.また,45度以下の角度をつける方法についても検討し,この場合にも逆放電による方法が加工であることを明らかにした.さらに,底付穴の加工について検討し,それが可能であることと,特に摩耗の大きい電極の隅部の取扱い方についても指針を示した.最後に,単結晶シリコンの微細放電加工についても検討を行い,ステンレスの場合と同様に加工が可能であり,各種センサやアクチュエータ等へのマイクロ部品加工にも本方法が有効であることを示した.
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