研究概要 |
血管病変が血管分岐など動脈の局所に発生すること,および流体輸送機器の重要な配管要素の一つである分岐管の接合部に腐食・壊蝕が頻発する.このような病変の発生,および配管の腐食・壊蝕に流体力学的因子が関与することは明らかである.本課題では,これまで速度分布などから間接的にしか測定できなかった液体流の壁せん断応力測定を,電解液を用いた電気化学的な唯一の直接測定法で確立およびセンサの開発を試みる. (1)第一の課題は,血流のように周期的変動した場合の周波数特性の検討である.スコッチヨ-ク型の低振動流発生装置を用い,生体内血管の血流の拍動に対応した無次元振動数3,6および10の場合,試験電極の追従性はほぼ満足できるものであった. (2)線径0.5mmの電極を用いた場合,乱流域における電気化学的測定によりえられた壁せん断応力測定の有効適用範囲を検討した.非接触測定法の代表例であるレーザドップラ流速計により測定した壁近傍の速度勾配から評価した壁せん断応力と比較検討した.その結果,層流域を越えたレイノルズ数4000程度までは十分な結果を得た. (3)枝管がほぼ直角に分岐する腎動脈,血管が合流と同時に分岐する脳前交通動脈および呼吸器を模した対称分岐流れ場などの生体における血流,呼吸器流れと循環器障害発生部位について電気化学的手法による検証を試みた.さらに,壁せん断応力センサである白金の端面の面積依存性を検討した結果,加工上線径0.5mmが敵する.
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