研究概要 |
本研究では、傾斜機能材料(FGM)の熱物性値評価装置の開発の開発を目標として,フォトアコースティック法とフォトサーマル法の原理による測定方法の検討を行った。研究成果は以下のようにまとめられる。 1.フォトアコースティック法の測定理論をFGM測定用に拡張し,多層膜における表面温度のAC応答成分の理論解を求めた。 2.得られた温度応答の解から,FGM内部の熱物性値がどのように分布しているかを計算する逆問題について検討を加え,2層および3層の場合については,解析プログラムを作成し,適切な初期値を与えれば,位相差信号から,内部の熱物性値を抽出可能なことが明らかになった。 3.熱物性値の分布状態があらかじめ良くわかっている2層サンプルを用いて,開発した装置とデータの解析方法の妥当性を確認することができた。 4.比較的厚いFGMにも適用可能な,フォトサーマル法の装置を新たに設計・製作した。 5.フォトサーマル法の測定理論をFGM測定用の拡張し,多層膜における表面温度のAC応答成分の理論解を求めることができた。特に,低周波数域における3次元の温度波の影響を定量的に明らかにすることができた。 6.熱物性値の分布状態があらかじめ良くわかっている標準的なFGMサンプル(Ni/ZrO_2系)を用いて,開発した装置とデータの解析方法の妥当性を検討し,十分実用測定が可能なことが明かとなった。
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