研究概要 |
本研究では,日常生活運動量を定量的に評価することが可能な行動分析システムを提案した。本システムは,日常生活の身体活動を拘束せずに計測できる装置を患者に取り付けて,臥位,座位,立位,歩行のような体位の状態や,歩行速度,歩幅,動揺、歩行経路を計測するものである。以下に本研究の成果を述べる。 [歩行形態判別装置の開発] 歩行時の加速度を測定して,実時間で歩行判別を行うことが可能な装置を開発した。また,判別結果をホルター心電計に記録して心電図と歩行形態との比較を行った。その結果,階段昇りの判別率は平均90%以上となり,本装置の有効性が確認された。 [経路修正アルゴリズム] 試作した無拘束計測装置で得られた情報から歩行経路を求めた場合の,誤差の推定方法の検討を行った。そして,その推定した誤差を用いた経路修正アルゴリズムを提案し,実験によって経路修正法の評価を行った。その結果,デットレコニングによる歩行経路推定を行うためには,一個のランドマークを活用する方法が有効であることが確認された。 [加速度波形を用いた行動識別] 身体胸部の加速度波形から,静止(立位/座位),動作(立つ/座る),臥位,歩行,の状態を判別する方法を提案した。次に,試作した無拘束計測装置で行動識別アルゴリズムを実現し,実験によってアルゴリズムの精度の評価を行った。 [行動遷移ルールを用いた行動推定法] 人間の行動遷移ルールにもとづいて行動推定を行うことで,立位・座位・臥位・歩行を識別する方法を提案した。ここでは,行動遷移ルールを文脈自由文法で表現し自動解析を行った。実験により推定された行動形態に対して,提案した解析方法を順時系列方向と,逆時系列方向に適用することにより,未確定の行動パターンの数を減少させることが可能であることが確認された。
|