研究概要 |
本研究は,ER流体のもつ本来の特性を踏まえたERダンパの特徴的でかつ効果的な使用法を目指すところに特色があり,すでに振動体の相対速度や絶対速度を検出しそれらに比例してER効果に起因する減衰力成分を可変して用いるアクティブダンパとしての使用法を提案している.提案したERダンパをアクティブダンパとして用いる除振制御法を採用した,精密加工・検査機器を微振動から保護する微振動制御システムを開発することを目的に,以下の研究を実施した. (1)圧力流れ及びせん断流れの流れ形態をもつ電極構成におけるERダンパの減衰力発生の基本特性を把握するため,両流れ形態における定常流れ時及び往復運動流時それぞれのER流体の定常的並びに動的な粘弾性特性や電場に対する過渡応答特性に起因する動的なER特性を実験的に明らかにし,微振動制御に適した流れ形態をもつ電極構成を提示した. (2)上記結果に基づいて,メタルベローズからなる二つの伸縮液室を円筒電極群からなるERバルブで連結した完全密閉形の構造をもち,両液室端の受圧板を二本の摺動ロッドによって連結することにより両液室間の差圧に対応した減衰力が得られる拮抗形のベローズERダンパを開発した.典型的なER流体として粒子分散系ERと液晶系ER流体を用いた場合について,開発したERダンパの電圧印加法の違いによるダンピング特性の変化について各ER流体固有の動的粘弾性特性との関連から実験的に明らかにした.さらに,ERダンパの動的減衰力特性の面から微振動制御に適する高性能なER流体の開発とERダンパの改善を図った. (3)ERダンパを用いた微振動制御システムの除振脚の開発を目的に,振動体・バネ・試作ERダンパからなる一自由度振動系の除振脚モデル装置を対象に,提案したERアクティブダンパによる新規な除振制御法をシミュレーションと実験両面から検証するとともにその除振性能を明らかにしその有効性を示した.さらに,微振動制御の面からより効果的なERダンパの構成法と制御法を提案し改善を図った.
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