研究概要 |
本研究は,自励オンオフ駆動制御方式を用いて知能化し,塑性加工を主体として複合微細精密衝撃加工を行う多機能な自動加工機を開発したものである.加工に必要な駆動エネルギーを最小に抑える最適駆動条件で構築した設計法を用いて,エレクトロニクス部品用の高分子フィルム・シート,金属箔の精密打抜き,また精密微細部品の製造,医療福祉機器部品の内の高分子柔軟材および特殊機能部品の製造を行うものである.この加工機と微細精密ハンドリング技術との組合せで,微細自動組立システムへの展開が進められ,精密機器の小型化,さらにはマイクロ化を進めて,高度な精密技術の集積に貢献できる. 本研究では,自励オンオフ駆動制御による動電型アクチュエータを用いた工具可動部の変位だけを検出して,オンオフ制御する.単一動作では,助走アイドル,加工および制動の区間がある.加工前のアイドル時間では,規範波形との偏差で駆動力レベルの制御を行い,高精度に目標加工開始速度を得ることを追及して,4%以内の精度を得た.続いて加工中では,加工物と加工法で決まる加工抵抗力をばねーダンパー摩擦系モデルで同定し,加工エネルギを最小にする駆動条件を求めた.さらに工具離脱後の制動動作では,ステップ応答による自励オンオフ駆動制御で速やかに停止させることができた.この試作機で,硬度の異なるシリコンゴムを加工物として,針状およびナイフ状工具で穴明けおよびせん断加工を行った.また,更なる高度化のために,高精度駆動制御を目指して,現代制御を用いた駆動方法をも検討した.本研究の目指した微小精密加工機の原型を完成させることができた.
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