研究概要 |
本研究では一対の汎用ローラーをロボットにより移動させて行うスピニング加工を行い、加工条件について検討した.特に絞り加工に重点を置いて円錐台形状の成形品を加工し,絞りスピニングにおける最適条件に関する実験を行った.ロボットとしては,購入した水平関節型ロボット(三菱電機製インテリジェンスRH-LA3形)を用い,ローラー部をロボットの腕先に取り付け加工を行った.ブランク(素板)の回転動力装置としてはモーターを利用した.ブランク回転速度は本実験では333rpmとした.実験の結果,以下の点が明らかになった. 1)ローラーのはさみ力Fが9.8N以下の空絞り状態の場合はしわの発生により成形できない. 2) Fが29.4N以上であれば絞り加工が可能であった. 3)板厚tが増大するとスプリングバックが増大し,Fが増大すると逆に減少する傾向を示す. 4)送りピッチが増大するとスプリングバックはやや増大する傾向を示す. 5)更に多段階の絞りを行い,第1パスでのスプリングバックが小さい場合の条件では,3回目にほぼ設定パス通りの形状が得られたが,大きい場合に良好な形状はえられない. 6)上記の結果をより一般化するために,素材の基本的な変形特性として,ロールによるブランクの局部圧縮を行い,それによる板厚ひずみと,スピニングによる板厚方向ひずみとの関連を調べた.その結果,ロールの送りピッチ(ブランク1回転当たりのロールの送り量)が小さいときには,局部圧縮ひずみが同一になるようなFではさみスピニングをすることにより,他の条件が異なっても同一形状の成形品が得られることが分かった. 7)今後はこれを継続し,最適加工条件を見出すとともに,ロボットの軌跡制御のアルゴリズムを確立する方向へ更に研究を進めていきたい.
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