研究概要 |
ラップ接着された円筒体の設計法開発の基礎的資料として以下の点が明らかになった。 [静的弾性問題] (1)接着層の最大応力は,接着層の両端で生じる。その位置は,一般に荷重作用側の端である。 (2)接着層両端の垂直応力とせん断応力の最大値は,接着層中央に関する応力分布が対称か非対称かに大きく依存する。すなわち,一般に,対称性が成立する場合は応力は緩和され,非対称の場合は,高い応力が生じる。 (3)非対称な分布形状になりやすいのは,異種結合の場合,被着体の弾性係数が小さい場合,被着体の厚さに差がある場合,被着体の長さが長い場合,および接着層の弾性係数が大きい場合である。 (4)異種結合の場合であっても,非対称は,荷重作用側の被着体に弾性係数の大きい材料を用いれば緩和される。 [線形粘弾性問題] (1)継ぎ手を被着体を引き離す方向に作用する剥離引張応力は,接着層の長さ方向のせん断応力より大きくなり,せん断応力は引張応力よりも早く減衰する。 (2)応力減衰は,被着体の剛性にも依存し,剛性が大きい程減衰の程度は小さい。 (3)応力減衰に大きな影響を与えるパラメータは剛性を除けば,接着層長さおよび接着層厚さで,前者はその値が大きいほど,後者はその値が小さい程,時間の変化に対する応力の減衰の程度が大きい。 [弾性衝撃問題] (1)接着層両端の応力は,縦波の到達と同時に立ち上がり,強い応力集中が発生する。 (2)動的応答倍率は,被着体の剛性に大きく依存する。 [予備設計における留意点] 接着層の最大剥離引張応力(垂直応力)および最大せん断応力は,以下のようにすれば軽減できる。 (1)同種材料からなるラップ継手接着すること。 (2)柔軟な接着剤と剛性のある被着体を接合させること。
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