研究概要 |
人口10万人程度の地方小都市では,地域住民の足を確保し活力あるまちづくりを進めるために,道路ネットワークの充実が必須の条件になっている.広域的な幹線ネットワーク形成を目標とする場合には,従来の道路網計画手法が有効であり,道路交通センサスなどの交通調査もそのような計画に適した調査体系となっている.もちろん,一部の中小都市に対しては都市OD調査が実施されており,それに基づく合理的な計画策定が可能である.しかし,一般の地方都市では必要とされるゾーニング規模に適した交通調査資料が存在しないし,道路交通網の現況分析・予測に関する適当な方法論も用意されているとは言えない. 本研究は,地方小都市における合理的な道路ネットワーク計画を策定する際に重要な役割を果たす道路網交通流解析手法の開発を目的とし,以下の2点を主な研究内容とする.(1)観測リンク交通量によるOD推計手法を改良し,道路交通センサスによるOD表を地域のゾーニング規模に適合したものに再構成するための方法論を開発すること.(2)通過交通が支配的な幹線道路網を含む場合の交通量配分手法として,従来から実務レベルで経験的に行われてきた二段階配分手法を改良し,新たな方法論を開発すること.構築した方法論の実用性を検証するために,愛媛県西条市の道路網と愛媛県新居浜市の道路網を用いた数値計算を行って,交通流の再現性度などについて分析・考察を加えた.
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