研究概要 |
本研究では1300℃で使用可能な高靱性を有するCr2Nbラーベス相金属間化合物の超高温構造材料としての開発・研究を目的として、合金設計、組織制御、プロセスの改善に基づいて準備した試料の超高温での変形特性の解明を試み、以下のような結果を得た。 1.C15単相組織からなる合金の組織と構造をX線ならびにHRTEM等の手法により解析した。続いて、高温圧縮変形挙動を転位組織と構造との相関において解釈した。その結果、圧縮変形は約1200℃から可能であり、ショックレー部分転位に分解した1/2<011>転位のすべり運動さらには動的再結晶が塑性変形に大きく寄与していることを観察した。 2.1350℃でのCr-Nb-V,Cr-Nb-MoならびにCr-Nb-W状態図を明らかにした。その結果、C15Cr2Nbラーベス相は直接bcc固溶体と平衡していることを観察した。 3.C15Cr_2Nbラーベス相中におけるV,Mo,W,Ti等の第3添加元素の合金挙動、格子特性ならびに相安定性に及ぼす効果を明らかにした。その結果、V,Moは約10%前後、Wは約5%,Tiは全率固溶することを明らかにした。一方,VはCrと、MoはNbと、Wは両構成元素に、TiはNbに置換することを、X線ならびにALCHEMI法等により明らかにした。また、TEM等により、VはC15相を安定化するがMo,W,TiはC15相を不安定化することを観察し、その機構について検討を加えた。 4.Cr-Nb-VおよびCr-Nb-Mo三元系におけるC15相とbcc相との2相組織からなる合金の高温圧縮変形挙動を系統的に観察した結果、より低い温度での変形能はCr-richbcc固溶体とC15相の2相組織からなる合金で見いだされた。一方、高強度であるが適度な塑性変形を有する特性はNb-richbccc固溶体とC15相の2相組織からなる合金で見いだされ、特にCr-Nb-Mo合金で靱性と高温強度のバランスの取れた成分と組織が見い出された。
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