研究概要 |
まず,タンディシュから浸漬ノズルを介してモ-ルドへ流入する流体のモ-ルド内流れの数値解析を自由表面の変化に重点をおいて行なった.支配方程式に3次元非圧縮性粘性流体のNavier-Stokes方程式を採用し,流れ場の解析はMAC (Marker and Cell)タイプの解法に従って行なった.この解析では,時間の経過に伴う自由表面形状を把握するため,非定常物体適合座標系を採用した.その結果,自由表面の形状及び表面流速に及ぼす鋳造速度の影響が極めて大きいことが明らかにされた.さらに,ノズルのボックス深さが流れ場に及ぼす効果も顕著であることが確認された.また,実機大の水モデル実験を行ない,数値解と実測値を比較したところ両者は良好な対応が得られ,数学モデルの妥当性が確認された. つぎに,モ-ルド内の自由表面近傍の流れ場がパウダー粒子の挙動に及ぼす影響を明らかにするために2流体モデルと粒子追跡法を用いた数学モデルを構築し,数値解析を行った.溶鋼中の直径が1mmオーダーの粒子は浮力の効果によって,すぐに自由表面に浮上するが,0.1mmの粒子は液相から及ぼされる抗力によって,液相の流れに追従することが明らかになった.また,ノズルの吐出角度,鋳造速度が自由表面の形状に及ぼす影響は顕著であることを明らかにした.さらに,パウダー巻き込み現象は,モ-ルド内に2つの渦構造が形成されるときに起こり,自由表面から溶鋼内部に向かうせん断流がパウダー巻き込みの発生原因であることを解明した.
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